2015年9月27日日曜日

提督の決断3(PS版) 感想

最近中古で手に入れたゲームです。実は前にいとこから借りてそのままどこかへ行ってしまったことがありました。


提督の決断シリーズはかつてコーエー社が販売した戦争シミュレーションゲームです。日米の陸海軍の総司令官となって戦争指導を行います。海軍が中心のゲームなので、戦車など陸軍の兵器はあまり登場しません。ただし陸軍の飛行機は海軍機と同様に生産、配備できます。


原爆もなく、1945年9月になっても日本は降伏しないので、もし戦争が続いていたらと言う歴史のIFを再現することができます。


架空の艦船や航空機を自由に設計することができ、当時の日本の国力からして明らかに製造不可能な性能の船や飛行機を作ることもできます。(例:51㎝砲15門搭載の戦艦、搭載機数150機の空母、高角砲99門装備の巡洋艦、速力50ノットの駆逐艦、最高速度999kmの航空機 など)


航空機の設計時の注意点としては、航続距離は速度が遅いと攻撃範囲に反映されなくなるということがあります。具体的には、航続距離(km)に2/9を掛けた数値より速度(km/h)が遅いと、速度(km/h)×9/2の数値が実際の航続距離になってしまいます。つまり最高速度で飛んで往復9時間以上かかる距離を空撃することはできないようになっています。仮に巡航速度を最高速度の1/2とすれば往復18時間が滞空時間の上限としているので、まあ妥当なところではないでしょうか。戦略爆撃機だけは速度×9が航続距離になるようです。つまり最高速度で往復18時間の距離まで空襲できるということです。


この世界では、なぜか開戦時から日本軍が輸送船と同数の海防艦を保有しています。実際には開戦時の海防艦数はわずか4隻で、輸送船の対潜警戒は古い駆逐艦や駆潜艇を各鎮守府から借りてきて行っていたようなので、史実よりかなり日本軍有利の設定と言えます。ただし日本軍の海防艦は米潜水艦に弱く、逆に日本軍潜水艦で通商破壊を行うと米海防艦に返り討ちに合うことが多いです。


この輸送船は艦隊に配備でき、艦隊の消費する石油、基地用の物資、敵基地を占領するための陸上部隊を輸送することができます。艦隊がどんなに高速で航行してもちゃんとついてきます。しかしその割に、海戦時の輸送船を含む戦隊の移動力は11~20ノット相当です。


艦載砲の攻撃力は口径だけで決まり、砲門数は攻撃力には影響せず、命中率だけに影響するようです。ただし副砲は主砲とは独立に攻撃力に加算されるようです。連装砲1基装備するより、主砲と副砲に同じ口径の単装砲を1基ずつ装備した方が有利そうです。つまり14センチ砲を1門しか装備しない潜水艦でも、船員錬度が高ければ軽巡洋艦と同等の攻撃力を持ちます。潜水艦隊で敵制空権下の基地の砲撃なども効果があります。


主砲用の対空散弾の3式弾が開発されると、口径20センチ以上の主砲を装備する艦は高角砲の代わりに主砲を対空射撃に使用するようになります。射程距離は倍増しますが、高角砲を多数装備する艦では対空攻撃力が低下してしまいます。


艦船と航空機が主役のゲームなので、基地の要塞砲は実際よりかなり威力が低く、射程距離も駆逐艦の主砲並みで、駆逐艦の艦砲射撃で容易に無力化できるほど耐久度も大したことありません。実際にはハワイやシンガポールなどの要塞に配備された対艦砲は、大きなものでは戦艦の主砲並みの口径と射程距離があったようで、艦砲射撃だけで無力化するのは困難であったようです。

艦船の工期は、特に大型艦では実際よりかなり短く設定されています。現実には起工から就役まで4年かかった大和型戦艦や、2年かかった翔鶴型空母でも、約1年で建造することができます。戦時急造艦のはずの雲龍型空母や松型駆逐艦の工期は史実と近く、性能が控えめな代わりに短期間に多数建造可能というメリットが薄れています。

一番難しいシナリオは日本側の大和特攻だと思います。1945年4月の降伏直前です。ただし、大和以外の残存戦艦が稼働状態にあり、残存空母も6隻全艦が直ちに作戦可能であり、原爆投下もないなど、日本軍に有利な設定ではあります。大陸と南方に配備された数百機の航空機がボタン一つで日本本土に集中配備できる、大陸の連合軍が米本土と分断されており、補給ができず史実より極めて弱いなど、日本側にも勝ち目のある要素が多数あります。


実際にはこの時点では大和以外の戦艦は全艦が予備艦とされ、副砲、高角砲などとり外せる武装はすべて本土決戦用に陸上に移されていました。


空母も天城は転覆、葛城は飛行甲板に被弾し航空機発着不能、隼鷹は潜水艦の雷撃で機関を損傷したまま係留されており、龍鳳は3/19の空襲で大破、鳳翔は練習空母として大型の新型機を運用するために飛行甲板を延長した結果重心が上がって波の高い外洋では使えなくなっていたようです。ゲーム上では全艦が健在な6隻の重巡も、実際には妙高と高雄が艦首と艦尾を切断された状態で大破しており、青葉も潜水艦の雷撃で大破したまま放置されていたようです。


史実に忠実に行うならば、使える艦船は第2艦隊の大和、矢矧と駆逐艦10隻、東京にいる戦艦長門、呉にいる重巡利根、軽巡大淀、シンガポールにいる重巡足柄、羽黒、バタビアの軽巡五十鈴、秋月型駆逐艦数隻と松型駆逐艦十数隻、旧式駆逐艦数隻と言うことになりそうです。


空母が使えなくては止むをえません。松型駆逐艦を囮にして航空攻撃を引きつけてもらい、その隙に基地航空隊を増強して敵機動部隊の上空直掩機を叩き落し、軍艦よりも陸上部隊を載せた輸送船を優先して空襲し、敵が輸送船の補給にグアムや硫黄島に戻った隙に旧式高速の駆逐艦で那覇基地に増援を送りましょう。葛城は航空機輸送艦としてなら使えそうです。零戦を満載して那覇へ向かいましょう。


2週間しのげば、敵は一度那覇をあきらめます。しかし、輸送船ばかり狙ったので、まだ敵の機動部隊と戦艦部隊は健在です。起工から短期間で就役できる戦時急造空母と戦時標準駆逐艦を設計し、早期に海軍力の回復に努めましょう。

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